相続税(国税)
REAL ESTATE AND TAX亡くなった方(被相続人)の財産を、相続や遺贈によって取得した場合に、取得した方にかかる税金です。ただし、課税価格の合計額が基礎控除額以下の場合には、課税されません。
まず、相続人等ごとに、課税価格を算出します。
土地、建物、借地権、現金、預貯金、有価証券、貴金属、貸付金、営業権、特許権など
生命保険金、退職手当金など
①墓地や墓石、仏壇、祭具など
②宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業に供することが確実なもの
③心身障害者共済制度により支給される給付金
④生命保険金及び退職手当金等は、それぞれ法定相続人一人当たり500万円まで
⑤相続税の申告期限までに国・地方公共団体や特定の公益法人に寄付した財産、あるいは特定の公益信託の信託財産とするために支出した金銭
相続時精算課税に係る受贈者(子)については、その贈与者(親)から取得した贈与財産は相続税の課税価格に算入します。
債務には一般債務のほか公租公課を含みます。また、葬式費用とは、葬式に関して相続人が負担した費用で、香典返しや墓所の購入費などは含まれません。
被相続人から相続開始前3 年以内に財産の贈与を受けた場合には、原則として、贈与時点での価額を相続財産の価額に加算します。
各人の課税価格を合計した額から基礎控除額を差し引き、課税遺産総額を算出します。
=3,000万円*1+(600万円*2×法定相続人の数*3)
* 1 平成26年12月31日以前は、5,000万円
* 2 平成26年12月31日以前は、1,000万円
*3 法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとして計算します。
また、養子については、実子がいる場合は1人までを、実子がいない場合は2人までを法定相続人の数に含めます。
課税遺産総額を法定相続人がそれぞれ法定相続分で相続したと仮定した場合の税額を計算します。
相続人 | 法定相続分 |
---|---|
配偶者と子の場合 | 配偶者=1/2 子=1/2 |
配偶者と直系尊属の場合 | 配偶者=2/3 直系尊属=1/3 |
配偶者と兄弟姉妹の場合 | 配偶者=3/4 兄弟姉妹=1/4 |
子・直系尊属又は兄弟姉 妹が2 人以上の場合 |
均等 |
相続税の総額に、課税価格の合計額に対する各人の課税価格の割合をかけて、相続人ごとの相続税額を算出します。
ただし、相続人等が、被相続人の配偶者、親、子以外の場合には、原則としてその人の相続税額が20%加算されます。ここで計算された税額から、 控除額を差し引いたものが、納付税額となります。
被相続人から、相続開始前3 年以内に財産の贈与を受けている場合、次の金額が控除されます。
20歳に達するまでの年数1 年につき、6万円*が控除されます。 *平成27年1月1日以後10万円
85歳に達するまでの年数1 年につき、6万円*1(特別障害者は12万円*2)が控除されます。
*1 平成27年1月1日以後10万円
*2 平成27年1月1日以後20万円
被相続人が死亡前10年以内に前の被相続人から相続した財産について、相続税が課税されている場合には、前回納めた相続税額のうちの一定金額が控除されます。
被相続人又は被相続人と生計を一にしていた親族が事業の用又は居住の用に供していた宅地等を、相続又は遺贈により取得した場合には、下表の限度面積までの部分について、通常の評価額から一定割合を減額して課税価格を計算します。
小規模宅地等の種類 | 適用面積 | 減額割合 |
---|---|---|
特定事業用等宅地等 | 400㎡ | 80% |
特定居住用宅地等 | 240㎡※ | 80% |
貸付事業用宅地等 | 200㎡ | 50% |
相続税や贈与税の税額を計算するための財産の価額は、原則として、国税庁で定めた「財産評価基本通達」により評価することになっています。
宅地の利用単位となっている一画地ごとに評価します。宅地の評価方法には次の二種類があります。
(1)路線価方式…市街地にある宅地は、原則として宅地が 面する道路の路線価を基に評価額を算出します。路線価図は税務署又は国税庁ホームページでご覧になれます。
(2)倍率方式…路線価方式により評価する地域以外の宅地については、固定資産税評価額に一定の倍率をかけて評価額を算出します。
家屋は一棟ごとに評価し、その評価額は固定資産税評価額と同じです。ただし、貸家の場合は、固定資産税評価額の70%となります(東京国税局管内)。
被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に、被相続人の死亡の時における住所地を管轄する税務署に申告書を提出して納税します。
土地の所有者がそこに借入金とか自己資金で、アパート建築するといった相続税対策は一般的によく行われる手法です。ここでは具体例によってどの程度の節約効果があるかをご説明したいと思います。
【具体例】 宅地400㎡(更地で軽減前の相続税評価額1億6,000万円、時価2億円) 現金預金3,000万円(相続税評価額)、その他の遺産3,000万円(相続税評価額)相続人は子供2人とする。 (小規模宅地の軽減の要件は満たしているものとします)(平成26年の相続の場合) |
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節税前の相続税額 | イ 16,000万円+3,000万円+3,000万円=22,000万円 ロ 遺産に係る基礎控除額 5,000万円+1,000万円×2人=7,000万円 ハ イーロ=15,000万円 ニ 相続税の総額 15,000万円×1/2=7,500万円 7,500万円×30%-700万円=1,550万円 1,550万円×2=3,100万円・・・相続税の総額 |
節税策 | 預金1,000万円と借入金5,000万円でアパートを建築した。アパートの相続税評価額は3,000万円で、借地権割合は60%、借地権割合は30%とする。 |
節税策後の相続税額 | 貸家建付地の評価減 16,000万円×(1-0.6×0.3)=13,120万円 小規模宅地の評価減 13,120万円×200㎡/400㎡×0.5=3,280万円 13,120万円ー3,280万円=9,840万円 イ 9,840万円+(3,000万円ー1,000万円)+3,000万円+3,000万円×(1-0.3)-5,000万円(借入金)=11,940万円 ロ 11,940万円ー7,000万円=4,940万円 ハ 相続税の総額 4,940万円×1/2=2,470万円 2,470万円×15%-50万円=320.5万円 320.5万円×2=641万円・・・相続税の総額 |
節税額 | 3,100万円ー641万円=2,459万円 土地の有効利用によって2,459万円の節税となりましたが、これはあくまで賃貸市場の状況や立地条件などを考慮して計画すべきです |
例えば平成26年の相続で見てみますと、相続人が配偶者と子供2人(合計3人)で、相続財産について計算した課税価格の合計額が2億円としますと、2億円の欄と2人の欄の交点である950万円(平成26年まで)が相続税額となります(配偶者は税額軽減によって税額は0としているので、子供2人分の税額です)。
課税価格の合計 | 子供の人数1人 | 子供の人数2人 | 子供の人数3人 |
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27年より | 27年より | 27年より | |
5,000万円 | 40 | 10 | 0 |
7,000万円 | 160 | 112.5 | 79.9 |
9,000万円 | 310 | 240 | 199.9 |
1億円 | 385 | 315 | 262.4 |
1億2,000万円 | 580 | 480 | 402.4 |
1億4,000万円 | 780 | 655 | 577.4 |
1億6,000万円 | 1070 | 860 | 767.4 |
1億8,000万円 | 1370 | 1100 | 992.4 |
2億円 | 1670 | 1350 | 1217.4 |
2億2,000万円 | 1970 | 1600 | 1442.4 |
2億2,000万円 | 2460 | 1985 | 1799.9 |
3億 | 3460 | 2860 | 2539.9 |
3億5,000万円 | 4460 | 3735 | 3289.9 |
4億 | 5460 | 4610 | 4154.9 |
4億5,000万円 | 6480 | 5492.5 | 5029.9 |
5億円 | 7605 | 6555 | 5962.4 |
10億円 | 19750 | 17810 | 16634.9/td> |