あまり実感わかないけど、入居者トラブルって、そんなに頻繁に起こるもの？

自殺、殺人、窃盗、詐欺、ストーカー、隣人とのトラブル……。
ニュースや新聞は、日々さまざまな事件やトラブルを報じています。
私たちはふだん、それらの事件を遠い世界の出来事のように感じがちですが、実際にそれらは世の中のどこかで起きているのです。
しかもそういった事件は、賃貸物件の多くでも起きているのです。
つまり、同じようなことがみなさんの物件で起きる可能性も十分にあるということです。

また隣の建物、もしくは近所で発生した事件の影響が、みなさんの物件におよんでくる可能性もあります。
どんなに注意深く管理・運営をしていても、トラブルを完全に避けることはできないのです。
ただ、被害を小さくするためにも、あらかじめどのようなトラブルに巻き込まれうるかを想定し、トラブルが発生した時に何をするべきかを考えておくことは重要です。 入居者によるトラブルとしては、以下のようなものが挙げられます。

・入居者が家賃を滞納する。
・自殺や殺人、突然の病死などにより、物件内で人が亡くなる。
・入居者が怪我や病気で突然倒れる、行方不明になる、何らかの犯罪（殺人、詐欺、窃盗、ストーカー、薬物・大麻の栽培など）を犯して逮捕・拘留される。
・入居者が精神疾患に陥る（近年では増加傾向にある）。
・入居者間もしくは近隣住民との間で、騒音をめぐるトラブルが発生する。
・反社会的勢力の人間が入居する。
・入居者が家賃減額訴訟を起こす。
・居住用の物件を入居者が勝手に事務所として使用する。
・入居者がペットを飼うことによって起こる、ペットに関するトラブル。
・単身者用の物件で入居者が勝手に同棲を始める。
・子供不可の物件に住んでいる夫婦やカップルに子供ができる。
・ゴミの不法投棄・放置自転車・無断駐輪など。
・退去時の敷金精算などで揉める。

ホームページ「賃貸経営博士」「賃貸博士」「不動産投資博士」「お悩み大家さん」でもいろいろなトラブルの相談事例を見ることができます（図②参照）。

図② : 不動産関連サイト紹介

賃貸経営博士	http://www.chintaikeiei.com/
賃貸博士	http://www.chintai-hakase.com/
不動産投資博士	http://www.toushi-hakase.com/
お悩み大家さん	http://www.onayamiooyasan.com/

たとえば、一人暮らしの入居者が物件内で亡くなった場合は、警察に通報し、連帯保証人に連絡をとって、賃貸契約解除の手続きや遺品の整理を依頼しなければなりません。
遺体の状況によっては、臭いの処理やリフォームなどを行い、お祓いをしてもらう必要もあるでしょう。
入居者が突然倒れたり、行方不明になったり、犯罪を犯したりした場合も、すぐに連帯保証人に連絡をとり、賃貸契約を解除するかどうか、残された荷物をどうするかなどを話し合いましょう。
所有権がある以上、本人や連帯保証人の承諾なしに荷物を動かすことはできないからです。
特に入居者が逮捕されたことがわかったら、速やかに状況を確認し、行動を起こす必要があります。

事が公になってからの対応になると、連帯保証人が面倒に巻き込まれるのを嫌がり、連絡に応じてくれなくなる可能性があるからです。そうなると、家賃が支払われないまま、何か月も部屋をそのままにしておかなければなりません。

このように、トラブルが発生した時、オーナーがするべきことはたくさんあります。
しかし、オーナー個人がトラブルに完璧に対応するのは、ほぼ不可能です。
たとえば入居者が逮捕された時、警察に罪状などを尋ねても、まず教えてくれないケースが多いでしょう。

そうなると、他の入居者や近隣の人にはっきりとした説明もできないため、「ここのオーナーは頼りなくて不安だ」という印象を与えてしまうことにもなりかねません。
そこでみなさんには、いざという時に相談できるよう、普段から、さまざまな人脈を持ち、入居者トラブルへの対応にも慣れている、信頼できる不動産会社と密な関係を築いておくことをおすすめします。

不動産経営にはトラブルがつきものといっていいでしょう。 まず、自分の物件は大丈夫などとは考えず、さまざまなトラブルが起こりうることを認識することが重要です。 そして自分自身がどこまで対応できるかを冷静に判断したうえで、不動産会社とどのようにつきあうか考えましょう。

賃貸物件では、多くの事件やトラブルが起きている。
それらが自分の物件で起きないとは限らない！