入居者に部屋を汚されても、敷金で精算できるから問題ない?|練馬区・豊島区の賃貸経営・不動産管理はハウステーションプロパティマネジメント

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Question08

入居者に部屋を汚されても、敷金で精算できるから問題ない?

入居者が退去する場合、オーナーがするべきこととして、主に以下のものが挙げられます。

・鍵を返却してもらう。
・光熱費の精算が終わっているかどうかを確認する。
・家賃を精算する。
・敷金を精算する。


まず、鍵については、合鍵も含めてすべて返却してもらう必要があります。
最近では、入居者が替わるたびに鍵を交換するケースが増えましたが、鍵の交換をしなかった場合、
退去者からきちんと合鍵を回収しないと、不法侵入などのトラブルが起こりかねません。
また、電気、ガス、水道などについては、各社への転居通知および精算が終わっているかどうかを確認する必要があります。

退去者が転居通知を怠っていたり、光熱費の精算を終わらせていなかったりした場合、
後でオーナーに請求がくる可能性があるからです。
家賃の精算については、退去日、退去月の日割り家賃の額および支払い期限を、オーナーと入居者との間できちんと確認しておく必要があります。
日割り家賃を払ったか払っていないかで揉めるケースは、少なくありません。

さて、退去者への対応業務の中でももっとも複雑で難しいのが、敷金の精算です。
オーナーは、基本的には敷金によって滞納家賃や原状回復費用を精算し、
残った分は退去者に返金しますが、このうち、特に悩ましいのが原状回復費用の精算です。
賃貸不動産オーナーと入居者の間で、原状回復費用負担をめぐるトラブルや訴訟が増加したことを受け、国土交通省は1998年に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を策定、2004年および2011年に改訂版を出しています。

さらにそれを受け、東京都は2004年に「賃貸住宅紛争防止条例」を施行し「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」を策定しました。
これらにより、原状回復におけるオーナー負担分と退去者の負担分の線引きはかなり明確化されましたが、いずれも法的な拘束力はなく、個々の契約内容によっても状況が変わってくるため、トラブルはいまだに頻発しています。
そのため、法務省は120年ぶりの民法改正で、法的にも敷金返還の明文化を進めています。

さらに、敷金については昨今、大きな問題が持ち上がっています。
20年ほど前まで、敷金の相場は家賃2か月分以上であり、
敷金は「家賃滞納や大きな損傷に備えての保証金」としての役割を果たしていました。
ところが、今では敷金1か月分の物件が多くなり、中には敷金ゼロの物件もあります。
この敷金ゼロ物件、家賃は相場よりも少し高くなっているのですが、それでも比較的入居者が決まりやすい傾向にあります。
一見、「初期費用を抑えたい」という入居者の声に応えて登場したかに見えますが、その背景には、「敷金を抑えて家賃を高く設定し、利回りを高くみせよう」という賃貸不動産オーナーや不動産販売会社の意図が見え隠れしています。

敷金ゼロ物件は、入居者にとってもオーナーにとっても、トラブルをもたらすことが少なくありません。
入居者からしてみると、敷金という「保証金」がないため、少しでも家賃の支払いが遅れると、すぐに退去を迫られるおそれがありますし、退去時には原状回復の費用など、予測外の請求をされることもあります。
一方で、退去者が原状回復の費用などの請求に応じてくれず、
オーナーが全額負担することになってしまったケースもあると聞いています。
なお、外国人や外国法人に貸していた場合も、敷金精算をめぐって揉めることが少なくありません。
その原因は、賃貸物件の扱い方に対する、文化やルール、意識の違いにあります。
たとえばイギリスでは、退去時にオーナーが物件の損傷や汚れなどを細かくチェックする習慣があるため、
イギリス人は日本で物件を借りた場合でも比較的きれいに住むことが多いようです。

また、タイ人は外食が主流のため、一度もキッチンを使わずに退去することもあります。一方、アメリカや韓国の人は、文化的に「原状回復」という意識が薄く、借りている物件であっても、釘などを壁に打ちつけて棚をとりつけたり、勝手にクロスを貼り換えたり、ペンキで壁を塗り替えたりすることもあります。 そういった人が退去した後では、きれいな状態に戻すのに数百万円もかかってしまうことがあるようです。

当然、敷金だけではまかないきれないため、費用を追加請求することになりますが、「こちらは家賃を払っているんだから、後は関係ない」と拒否されてしまい、オーナーの負担が大きくなってしまうケースもあると聞いています。 このように、敷金の精算にはトラブルがつきものです。 できれば入居者募集や契約の段階から、退去時のトラブルを見据えて慎重に事を運ぶようにしましょう。

ここをチェック! 敷金精算をめぐるトラブルは、後を絶たない。
入居率ばかり気にして、退去時のトラブルに巻き込まれないようにするべし!
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